2024年3月ダイヤ改定で、JR東日本の普通列車グリーン料金は大幅に値上げされる。


大幅値上げの要点をまとめると、
・休日と平日の区分がなくなるため、休日に利用すると値上げとなる。
・料金区分に新たに101キロ以上を設定する。
・券売機発行のグリーン券はスイカ利用より260円高い。





JR東日本の駅の貼り紙広告や新聞広告を見てあきれた。料金値上げと言わず「料金見直し」と言い換えたり、わかりやすい料金体系と言ってみたり、偽善的な言葉が並ぶ。スイカ料金は通常料金と比べて260円お得といっているが、これまでとほぼ同じじゃないか。101キロ以上はスイカグリーン料金も値上げだ。よくこんな白々しい広告を出すものだ。


高崎線を例に、どれほど大幅値上げか、比較する。
高崎-上野間を休日に利用すると、2024年3月15日まで800円だが、翌16日から、


・スイカは1550円(750円値上げ)
・券売機購入は1810円(1010円値上げ)


凄まじい値上げである。これまでと同じ座席が、ある日を境に暴騰する。ぼったくりとしか言いようがない。
グリーン車といっても、グランクラスやプレミアムシートなどこれまでより格段に豪華な座席を導入して値上げなら理解できるが、何も変わらない座席を突然大幅に値上げするのはおかしい。膨大な人口を抱える首都圏では大幅値上げをしても客は減らないとJR東日本はタカをくくっているのか。


なぜJR東日本は普通列車グリーン料金を大幅値上げするのか。理由として考えられるのは、首都圏の特急料金との整合性を合せようとしているのではないか。
例えば、高崎線の特急「あかぎ」の料金と普通列車グリーン料金を比較すると、


・50キロまで、特急料金760円、普通列車グリーン料金750円
・100キロまで、特急料金1020円、普通列車グリーン料金1000円
・150キロまで、特急料金1580円、普通列車グリーン料金1550円


10円から30円の差はあるが、両者はほぼ同じである。
つまり、ゆったり座りたい客には、列車の種別を問わず、同じ区間でほぼ同じ料金を取る方針なのだろう。
合理的と言えなくもないが、あまりにも硬直した料金設定である。これまで東京から101キロ以上、片道2時間近くグリーン車を利用してきた客には非情な措置である。料金が高くて不満なら乗るなと言うことか。


私もたびたび高崎線の普通列車グリーン車を利用してきたが、この大幅値上げには心底腹が立っている。苦肉の策として、例えば、高崎から尾久または池袋まで(100キロ以内)はグリーン車に乗り、料金が上がる直前に同じ列車の普通車に移動して、上野または新宿へ行く・・・そんな面倒くさいことも頭をよぎっている。

おそらくJR東日本は、これまでの普通列車グリーン料金が安過ぎたから、これからは乗った分だけ料金を取るという考えなのだろう。確かに51キロ以上はどこまで乗っても休日800円で、高崎-熱海間や宇都宮-熱海間など、200キロ以上でも800円というのは格安だ。


今回の大幅値上げは、JRとしては適正な料金にしたと考えているのだろう。一方、私が長年不満に思っている首都圏の一部区間の矛盾した運賃はいつまでたっても是正されない。
矛盾した運賃とは、山手線内同一運賃のことである。

 

 

 


 

高崎線倉賀野駅の運賃表示を見れば一目瞭然だ。
・倉賀野から池袋 1980円(92.9キロ)
・倉賀野から北千住 1690円(100.0キロ)

短い区間の運賃が長い区間の運賃より高い。どう考えても適正な運賃とは言えない。このような矛盾は放置したままで、いそいそと普通列車グリーン料金を大幅に値上げする。増収を見込めるところは改定するが、改定作業が面倒で減収になりそうな運賃には手を付けない。ずる賢い会社である。


この件に関しては数年前に下記の記事にまとめたので、参照していただきたい。

 

 

 


私はJR東日本を否定も肯定もしない。また、鉄道ファンとして意見を述べているわけでもない。鉄道に限らず、近年のあらゆる物価高には辟易している。今回のグリーン料金値上げも、あくまで利用者あるいは消費者の立場から不満を述べた次第である。